2009/06/15(Mon) 23:
57:10
知っているかね、夢は見るためにあるんだ。
寝て、わずかな休息に心を休ませたりして、時には現実に追い詰められたりして。
起きて、うなされるほどの苦痛を思い出したりして。
知っているかね、決して叶えようと思ってはいけない。
夢はただ、流れに身を任せ心を落ち着かせ、記憶をそっと押しとどめる。
ああ、かなうはずの無い夢を、それでも願い続ける私はどこまで愚かなんだろうね?
寝て、わずかな休息に心を休ませたりして、時には現実に追い詰められたりして。
起きて、うなされるほどの苦痛を思い出したりして。
知っているかね、決して叶えようと思ってはいけない。
夢はただ、流れに身を任せ心を落ち着かせ、記憶をそっと押しとどめる。
ああ、かなうはずの無い夢を、それでも願い続ける私はどこまで愚かなんだろうね?
2009/06/15(Mon) 00:
03:59
小さいころから、現実が嘘の塊であると、誰かに教えられた。
この世界は、誰かの夢の中なんだって。
その誰かの目が覚めてしまえば、私も、貴方も、居なかったことになる。
それって、罪も、罰も、結果も、決意も、すべて無になる。
馬鹿みたいだと思う。
今は現実で、私には夢だとは思えないのに、それでも、その言葉に抗えない。
そう思いたいだけなのか、無意識に知っているのか、私には分からないけれど。
この世界は、誰かの夢の中なんだって。
その誰かの目が覚めてしまえば、私も、貴方も、居なかったことになる。
それって、罪も、罰も、結果も、決意も、すべて無になる。
馬鹿みたいだと思う。
今は現実で、私には夢だとは思えないのに、それでも、その言葉に抗えない。
そう思いたいだけなのか、無意識に知っているのか、私には分からないけれど。
2009/06/13(Sat) 23:
50:24
少女は、……女はいつも政略の道具でしかなく、母も、祖母もそうして栄華を忘れた末席貴族に嫁いだ。爵位など久方ぶりだろう。この土地は痩せ、食べるものはあまり出来ない。そして山ばかりで坂道が多いため、人が住むだけの敷地が圧倒的に足りない。働き手は外に出て、山に残るのは老人と子供だけだった。それでも人がいる限り、金がなければ餓死しか残されていない。そんな惨状であるから、両親は泣く泣く娘を手放したのだ。泣く泣く手放した、と信じているのは少女だけで、会いに来ない両親を鑑みれば、喜び勇んで差し出したという最悪な答えにたどり着いてしまう。あんまりだった。けれど、少女は泣けない。これから、また強くなる。ならなければならない。
それに少女が暮らすためには、最低限の食物が必要だった。ほんのわずかな領地を守るために金が必要だった。だから、恥を捨て王に願った。
王は笑いながら許した。心の奥で嘲ろうと、彼はその演技を続ける。少女が初の国母となるから。
この国の祖は女王。女王たる定めを持ちし娘が、第一子を生み、国母となる。第一子は、性別関係なく継承権をもち徹底的に教育を受ける。第一子を生んだ母は国母と呼ばれ、初めて王の番(つがい)となる。
それに少女が暮らすためには、最低限の食物が必要だった。ほんのわずかな領地を守るために金が必要だった。だから、恥を捨て王に願った。
王は笑いながら許した。心の奥で嘲ろうと、彼はその演技を続ける。少女が初の国母となるから。
この国の祖は女王。女王たる定めを持ちし娘が、第一子を生み、国母となる。第一子は、性別関係なく継承権をもち徹底的に教育を受ける。第一子を生んだ母は国母と呼ばれ、初めて王の番(つがい)となる。
2009/06/13(Sat) 00:
53:43
「おや、今晩は、良い月ですね」
嘗て嫁ぐ前は少女を抱き寄せ祝福まで送った妹に、男はどこかよそよそしく笑った。ほの暗い笑みは危うさをひしひしと伝える。
男の口調は他人のそれだ。公的な立場では他家に入ったのだから全面的に昔のようにはいかないことは理解していた。けれど男だけは、距離を置かれるとは今の今まで予想していなかった。
生家に帰ったというのに仕事で忙しいと理由を付けた両親は食卓にも現れず、一人っ子だった少女には、思いがけず二人の時間が多かった男の拒絶はあまりにも残酷だった。
「……今晩は、お兄さま。お元気ですか?」
お兄さま、と問いかけたときの男の顔はいつも柔和であるだけに鬼気迫るものが目立った。
兄、と呼んでいるが親族ではない。この国では、女が学ぶ体制はまだ確立されていない。だが、望めば学校に通うことが出来る。その建物内において、上級生には兄と慕い姉と慕え、という教えを徹底した。呼び名は、その生活が長かった、という習慣以外の何者でもないがはたから見れば、異様なのかもしれない。
山に囲まれた地で、学校へ通ったのは男と少女しか居なかった。この空気を共有できるのは、二人でしかなかったため、閉じた村の、そのさらに小さな居場所を二人で築いていた。嫁にと命令が下される、ほんの前まで。
幼少は仲が良かっただけに、嫁いでから悪化した関係に妹である少女は戸惑いを隠せない。男だけは変わらないという根拠のない自信が完膚なきまで砕け散る。
問いかけても笑顔で誤魔化すだけなので少女には理由もわからない。伝えようという気さえない。
だが、目の前の少女の存在が男の気分を害していることは確かだった。別れを告げるためにドレスを捌き、心持ち視線を下げる。直視できなかった。
「久方ぶりにお会いできて大層嬉しく思っております、男爵」
男爵の位は、妹である娘が皇帝の側近に嫁いだことで与えられた地位だった。
後で推敲したい。それからそのうち続き書く。かけたら。
嘗て嫁ぐ前は少女を抱き寄せ祝福まで送った妹に、男はどこかよそよそしく笑った。ほの暗い笑みは危うさをひしひしと伝える。
男の口調は他人のそれだ。公的な立場では他家に入ったのだから全面的に昔のようにはいかないことは理解していた。けれど男だけは、距離を置かれるとは今の今まで予想していなかった。
生家に帰ったというのに仕事で忙しいと理由を付けた両親は食卓にも現れず、一人っ子だった少女には、思いがけず二人の時間が多かった男の拒絶はあまりにも残酷だった。
「……今晩は、お兄さま。お元気ですか?」
お兄さま、と問いかけたときの男の顔はいつも柔和であるだけに鬼気迫るものが目立った。
兄、と呼んでいるが親族ではない。この国では、女が学ぶ体制はまだ確立されていない。だが、望めば学校に通うことが出来る。その建物内において、上級生には兄と慕い姉と慕え、という教えを徹底した。呼び名は、その生活が長かった、という習慣以外の何者でもないがはたから見れば、異様なのかもしれない。
山に囲まれた地で、学校へ通ったのは男と少女しか居なかった。この空気を共有できるのは、二人でしかなかったため、閉じた村の、そのさらに小さな居場所を二人で築いていた。嫁にと命令が下される、ほんの前まで。
幼少は仲が良かっただけに、嫁いでから悪化した関係に妹である少女は戸惑いを隠せない。男だけは変わらないという根拠のない自信が完膚なきまで砕け散る。
問いかけても笑顔で誤魔化すだけなので少女には理由もわからない。伝えようという気さえない。
だが、目の前の少女の存在が男の気分を害していることは確かだった。別れを告げるためにドレスを捌き、心持ち視線を下げる。直視できなかった。
「久方ぶりにお会いできて大層嬉しく思っております、男爵」
男爵の位は、妹である娘が皇帝の側近に嫁いだことで与えられた地位だった。
後で推敲したい。それからそのうち続き書く。かけたら。
2009/06/11(Thu) 23:
58:41
友人が家を訪ねてきた。
誰かは覚えてない。ただ、誰かを伴ってきた(気がする)。
ところで私はなぜか、居場所がなかった。
家を出て、マンションの隣へ。
ところで、隣人を私は知らない。
けれど嘗て、私はそこのベッドで寝たことあるのだ。……所謂、不法侵入である。
その経験を生かし、何も抵抗を抱かず、私は再びベッドで寝る。
酷いことである。
そしてどのくらい時間がたっただろう。
何故か。(本当に不思議)布団を持って自分の部屋に行こうと思った。今度は、所謂窃盗である。
そして、布団を持ち上げる……と、そこには人が。
まあ、要するに。布団の向こうに人がいるわけだが、かえすがえすも想像がつかない。
壁がなかったら、そもそも人がいることが分かるはず。でも、布団で人は隠れていた。じゃあ、ガラス張りの壁でもあったというのか?
本当になぞである。
まあ、それはおいておこう。
そして、二人の女性に私は警察に突き出される。
訪れた友人も、何故か母もいて、複雑そうにしていたが。
私は、もうあきらめていた。
という夢を見た。夢って何がなんだかよく分からない。壮絶。
下は夢占いの結果。
誰かは覚えてない。ただ、誰かを伴ってきた(気がする)。
ところで私はなぜか、居場所がなかった。
家を出て、マンションの隣へ。
ところで、隣人を私は知らない。
けれど嘗て、私はそこのベッドで寝たことあるのだ。……所謂、不法侵入である。
その経験を生かし、何も抵抗を抱かず、私は再びベッドで寝る。
酷いことである。
そしてどのくらい時間がたっただろう。
何故か。(本当に不思議)布団を持って自分の部屋に行こうと思った。今度は、所謂窃盗である。
そして、布団を持ち上げる……と、そこには人が。
まあ、要するに。布団の向こうに人がいるわけだが、かえすがえすも想像がつかない。
壁がなかったら、そもそも人がいることが分かるはず。でも、布団で人は隠れていた。じゃあ、ガラス張りの壁でもあったというのか?
本当になぞである。
まあ、それはおいておこう。
そして、二人の女性に私は警察に突き出される。
訪れた友人も、何故か母もいて、複雑そうにしていたが。
私は、もうあきらめていた。
という夢を見た。夢って何がなんだかよく分からない。壮絶。
下は夢占いの結果。
2009/06/11(Thu) 00:
45:31
死の前では、誰もが平等。
生の前では、誰もが無力。
抗えば抗うほど足をとられ、心は砕かれていく。
未来には、永劫の記録が残され、過去を嘲笑う。
忘れるな。
我々は時によって救われ、時によって苦しむ。
しかし、同胞よ。
我らはすでに選んだのだ。
剣を持て、盾になれ。
守るべきものは自ら先頭にたたねばならない。
そうして得たものこそが真実であり、手元から決して離れないのだから。
生の前では、誰もが無力。
抗えば抗うほど足をとられ、心は砕かれていく。
未来には、永劫の記録が残され、過去を嘲笑う。
忘れるな。
我々は時によって救われ、時によって苦しむ。
しかし、同胞よ。
我らはすでに選んだのだ。
剣を持て、盾になれ。
守るべきものは自ら先頭にたたねばならない。
そうして得たものこそが真実であり、手元から決して離れないのだから。
2009/06/10(Wed) 00:
17:43
「よくきたな」
「まあ、暗殺者たるわたくしに良くおっしゃることですねえ」
「そなたは、分かりやすいほどに暗躍していたではないか?」
「ご存知だったのですか、へえ」
「そろそろ、邪魔になることは分かっていた。国は憂えていた。国庫は空同然だった。けれど、民は踏ん張ってくれるのだ」
「ええ、存じております。だからこそ、我が君がそれを活かしてくださいます」
「……そうか。それは頼もしい。期待している」
「ですが、あなたはもう後の世を見ることは出来ないのです」
「そなたは、何もしなくて良い。何もしなくても手柄は立てられよう。これは、自殺だ。世を憂いた私の、狂言だ。すばらしき、世になることを祈っている」
「まさか」
「今日来なければ無駄足だった」
「お止めください!閣下」
「お前の主は喜んでいることだろう」
かれの、体は。
崩れ落ちて消えた。
「まあ、暗殺者たるわたくしに良くおっしゃることですねえ」
「そなたは、分かりやすいほどに暗躍していたではないか?」
「ご存知だったのですか、へえ」
「そろそろ、邪魔になることは分かっていた。国は憂えていた。国庫は空同然だった。けれど、民は踏ん張ってくれるのだ」
「ええ、存じております。だからこそ、我が君がそれを活かしてくださいます」
「……そうか。それは頼もしい。期待している」
「ですが、あなたはもう後の世を見ることは出来ないのです」
「そなたは、何もしなくて良い。何もしなくても手柄は立てられよう。これは、自殺だ。世を憂いた私の、狂言だ。すばらしき、世になることを祈っている」
「まさか」
「今日来なければ無駄足だった」
「お止めください!閣下」
「お前の主は喜んでいることだろう」
かれの、体は。
崩れ落ちて消えた。
2009/06/08(Mon) 23:
32:49
民は、歌姫に成果を求めます。その成果への感情は、王に向けられるのです。何故ならば、歌姫は所有物だからです。民は歌姫を通じて神を見ます。歌姫は人ですけれど、人を超越した力というものは、民には受け入れられないのです。民は神意であると受け取ります。
王は、歌姫という人神を使役する最も神に近いものになります。けれど、人です。
矛盾しているとお思いですか?王は人神に手が届く程度の、そして民を見下ろす地位を持つものです。だから、歌姫の咎は王が全て背負います。民がそれを強要します。
戦を望み、自ら武器を持ちながら、人が一人でも死ねば、歌姫の責任です。人神が付いているのに、使役しきれない王の責任です。あんまりでしょう?でもそれがまかり通ってるのです。
先々代の歌姫は政治に介入しました。その代の王はとても愚かで、王のもちうる全ての権利を歌姫に与えたといいます。けれど、歌姫は力を失います。彼女が人に戻るとすぐに王権は崩壊しました。その歌姫の責任も、民は王へと求めたらしいですよ。王が役に立たなかったことは誰もが承知しながら、歌姫の力がなくなったことを理由にその王は民に生きながら焼かれました。そして、王が居なければその歌姫に庇護の手は掛りません。
決して歌姫に直接与えられる苦痛はなかった。人に戻っても、人は人を恐れます。彼女は殺されることは無かったでしょう。
けれども、彼女なりに王を愛していたらしいですね、彼女は、王と心中しました。
最後に彼女は、叫んだといいます。
「こんなつもりでは、なかった。幸せになりたかった。もっともっと幸せになれるのに」
泣いて、叫んで、体は傷だらけで、血液は流れっぱなしだったそうです。誰も手を貸しません。人は非情です。手を貸すことはありません。ただ、ひたすらに、人を蹴落とし見ない振りをするだけ。
つまらない、お話しでしょう?
今代も、パトリツィアを迎えの騎士に与えたことから考えて、非情ですね。彼女は、少なくとも、王を愛した。王という個人を通して、この国を愛したのに。私とは違って、王個人を見ようとしたのに。
それでも、王が選んだのは国でした。王妃として、歌姫が選んだのも国なのでしょう。
歌姫が王妃になったのなら、歌姫でなくなったら引かなくてはいけない。きっと彼女は想像すらしていなかったはずです。
それでも幸せだと、言います。
パトリツィアは優しすぎる。
けれど、王は、情が薄すぎました。子をもうければ、彼女の地位は確立されました。けれど、彼女にそれほどの後ろ盾を与える心算など、即位の時からなかったのでしょう。私は王が変わったことすら興味なく、神殿に篭ってましたから、知らなかったのですけれど。
本来歌姫は、王から与えられた罪を裁くことも命令を下すことも出来ません。けれど、味方が居ない、つまり独りであるが故に、自由があります。
王は、歌姫という人神を使役する最も神に近いものになります。けれど、人です。
矛盾しているとお思いですか?王は人神に手が届く程度の、そして民を見下ろす地位を持つものです。だから、歌姫の咎は王が全て背負います。民がそれを強要します。
戦を望み、自ら武器を持ちながら、人が一人でも死ねば、歌姫の責任です。人神が付いているのに、使役しきれない王の責任です。あんまりでしょう?でもそれがまかり通ってるのです。
先々代の歌姫は政治に介入しました。その代の王はとても愚かで、王のもちうる全ての権利を歌姫に与えたといいます。けれど、歌姫は力を失います。彼女が人に戻るとすぐに王権は崩壊しました。その歌姫の責任も、民は王へと求めたらしいですよ。王が役に立たなかったことは誰もが承知しながら、歌姫の力がなくなったことを理由にその王は民に生きながら焼かれました。そして、王が居なければその歌姫に庇護の手は掛りません。
決して歌姫に直接与えられる苦痛はなかった。人に戻っても、人は人を恐れます。彼女は殺されることは無かったでしょう。
けれども、彼女なりに王を愛していたらしいですね、彼女は、王と心中しました。
最後に彼女は、叫んだといいます。
「こんなつもりでは、なかった。幸せになりたかった。もっともっと幸せになれるのに」
泣いて、叫んで、体は傷だらけで、血液は流れっぱなしだったそうです。誰も手を貸しません。人は非情です。手を貸すことはありません。ただ、ひたすらに、人を蹴落とし見ない振りをするだけ。
つまらない、お話しでしょう?
今代も、パトリツィアを迎えの騎士に与えたことから考えて、非情ですね。彼女は、少なくとも、王を愛した。王という個人を通して、この国を愛したのに。私とは違って、王個人を見ようとしたのに。
それでも、王が選んだのは国でした。王妃として、歌姫が選んだのも国なのでしょう。
歌姫が王妃になったのなら、歌姫でなくなったら引かなくてはいけない。きっと彼女は想像すらしていなかったはずです。
それでも幸せだと、言います。
パトリツィアは優しすぎる。
けれど、王は、情が薄すぎました。子をもうければ、彼女の地位は確立されました。けれど、彼女にそれほどの後ろ盾を与える心算など、即位の時からなかったのでしょう。私は王が変わったことすら興味なく、神殿に篭ってましたから、知らなかったのですけれど。
本来歌姫は、王から与えられた罪を裁くことも命令を下すことも出来ません。けれど、味方が居ない、つまり独りであるが故に、自由があります。
2009/06/07(Sun) 23:
28:11
天にお住まいになる、我らが尊き王の豪奢な城は、何時にも増してまばゆい。
「へえ、あれがこの国の王が継承するという島?」
「見間違えることは無いだろう。浮遊島なんて、御神の子孫と呼ばれる王しか持ち得ない資産だからな」
「……貴方はそれを信じているわけ?」
「疑う余地など無いだろう。あれが空に浮いている事実があるだけで、我らは王に従うのだから」
「つまらないことを言うのね、あなた方の種族は」
「教えなど、ただの洗脳でしかあるまい?それに晒され生きてきたのだ、今更疑うこともないのだ」
「そこまで分かっていながら、どうして甘んじるの?」
「これもまた洗脳の結果だからだ、来訪者よ」
「つまらぬ物言いですこと。否定はしないけれど」
「へえ、あれがこの国の王が継承するという島?」
「見間違えることは無いだろう。浮遊島なんて、御神の子孫と呼ばれる王しか持ち得ない資産だからな」
「……貴方はそれを信じているわけ?」
「疑う余地など無いだろう。あれが空に浮いている事実があるだけで、我らは王に従うのだから」
「つまらないことを言うのね、あなた方の種族は」
「教えなど、ただの洗脳でしかあるまい?それに晒され生きてきたのだ、今更疑うこともないのだ」
「そこまで分かっていながら、どうして甘んじるの?」
「これもまた洗脳の結果だからだ、来訪者よ」
「つまらぬ物言いですこと。否定はしないけれど」
2009/06/06(Sat) 00:
35:43
ある閉じた街の外れに、緑と実り豊かな小さな森がある。
忘れ去られたような森の多くの小さな屋敷には、世をはばかる身分の親子が住んでいた。
そして、森を訪れる少年が一人。
「ちいひめさま。ちいひめさま、お待ちなさい」
女が喜ぶ少女を追いかけ、少女はころんと床に転がる。楽しそうに笑う少女に、女のそばにいた少年が笑う。
「おひさしぶりですね、小姫さま。ごきげんはいかがですか?」
「……これ、小姫さま。折角葉王さまがいらしたのですよ」
「よう?おひさしぶりね、よう」
「ええ。小姫さまは何をなさっているのですか」
ぐいぐいと、床に敷かれている布を引っ張る少女に軽く目を見張り、葉は声を上げて笑った。
「呼び捨てはいけませんよ、首をはねられてしまいます」
「明様、そのようなことをおっしゃらずとも良いではないですか。元は小姫さまの方が身分は上でございましたよ」
「嘗ては、です。今はこの小姫は、葉王に傅く立場なのですわ」
「そうはおっしゃらずもよいのですよ、明様」
「よう、それは、庚よ。あかりとは、だれのこと?」
葉は小姫が女に向かい指を指しながら目を輝かせる様子を見て、かすかに眉根を寄せた。小姫のその口調は幼いそれだが、少女の体は徐々に成熟してきている。ただ、心だけが育たない。
女は葉の顔色を見て小姫をたしなめる。
「小姫さま、落ち着いていられないのですか。……申し訳ありません」
後の謝罪はかすかなため息とともに葉に向けてはなたれた。
「何をおっしゃるのです、庚殿も小姫さまも、謝る必要などございませんよ」
「しかし、お忙しいと聞いております。この季節の森は大層美しいものですが、葉王さまがいらっしゃるには大層辺鄙でございますし、昔の縁など忘れ、みやびに遊ばれてはいかがですか?」
「庚殿。それは、どういうことですか?」
「嘗ての婚約者たる小姫も禁忌で心を壊し、葉王さまに利するものではなくなりました。もうここに訪れないほうがよろしいと考えますわ。この街を統べる法王さまとて、それを望んでいらっしゃるでしょう」
「わたしが、小姫さまに会いに来ているとでも、言うのですか。庚殿」
「そうでなければ迎えることはありません。嘗てのわたくしの、妹の息子」
「庚殿は露骨でいらっしゃる、わたしが貴方を求めるというのに」
「私が守るのは、小姫さまだけです。愛するのも。この子の生は決して長くは無いでしょうから。諦めてしまった子です」
「それが終わったら、わたしのもとへきませんか?」
「……小姫さま。葉王さまが遊んでくださるそうですよ」
その言葉を無視し、庚は表情を硬くする。
しかし、庚と葉の会話に飽きてしまった小姫は小さなあくびを終え、既に庚のひざで眠りについていた。
忘れ去られたような森の多くの小さな屋敷には、世をはばかる身分の親子が住んでいた。
そして、森を訪れる少年が一人。
「ちいひめさま。ちいひめさま、お待ちなさい」
女が喜ぶ少女を追いかけ、少女はころんと床に転がる。楽しそうに笑う少女に、女のそばにいた少年が笑う。
「おひさしぶりですね、小姫さま。ごきげんはいかがですか?」
「……これ、小姫さま。折角葉王さまがいらしたのですよ」
「よう?おひさしぶりね、よう」
「ええ。小姫さまは何をなさっているのですか」
ぐいぐいと、床に敷かれている布を引っ張る少女に軽く目を見張り、葉は声を上げて笑った。
「呼び捨てはいけませんよ、首をはねられてしまいます」
「明様、そのようなことをおっしゃらずとも良いではないですか。元は小姫さまの方が身分は上でございましたよ」
「嘗ては、です。今はこの小姫は、葉王に傅く立場なのですわ」
「そうはおっしゃらずもよいのですよ、明様」
「よう、それは、庚よ。あかりとは、だれのこと?」
葉は小姫が女に向かい指を指しながら目を輝かせる様子を見て、かすかに眉根を寄せた。小姫のその口調は幼いそれだが、少女の体は徐々に成熟してきている。ただ、心だけが育たない。
女は葉の顔色を見て小姫をたしなめる。
「小姫さま、落ち着いていられないのですか。……申し訳ありません」
後の謝罪はかすかなため息とともに葉に向けてはなたれた。
「何をおっしゃるのです、庚殿も小姫さまも、謝る必要などございませんよ」
「しかし、お忙しいと聞いております。この季節の森は大層美しいものですが、葉王さまがいらっしゃるには大層辺鄙でございますし、昔の縁など忘れ、みやびに遊ばれてはいかがですか?」
「庚殿。それは、どういうことですか?」
「嘗ての婚約者たる小姫も禁忌で心を壊し、葉王さまに利するものではなくなりました。もうここに訪れないほうがよろしいと考えますわ。この街を統べる法王さまとて、それを望んでいらっしゃるでしょう」
「わたしが、小姫さまに会いに来ているとでも、言うのですか。庚殿」
「そうでなければ迎えることはありません。嘗てのわたくしの、妹の息子」
「庚殿は露骨でいらっしゃる、わたしが貴方を求めるというのに」
「私が守るのは、小姫さまだけです。愛するのも。この子の生は決して長くは無いでしょうから。諦めてしまった子です」
「それが終わったら、わたしのもとへきませんか?」
「……小姫さま。葉王さまが遊んでくださるそうですよ」
その言葉を無視し、庚は表情を硬くする。
しかし、庚と葉の会話に飽きてしまった小姫は小さなあくびを終え、既に庚のひざで眠りについていた。
