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0069

手に持ち続ければ迫り来る睡魔に負けそうで、一方的ではあるが約束を取り付けた手前、意地でも眠れない。名残惜しかったが上着を手放し、テレビをみる。しかし見ているようで頭にはいっていない遠花の目線の角には常に不破の上着があったし何となく眠い気がして、頭が混乱してくる。しばらくはこんなことはなかったのだが、意識から閉め出せない以上は眠気と戦い続けるしかない。
誘惑と戦い、刻一刻と迫り来る秒針の数を数えながら、羊を思い出して下唇を軽くかむ。ぴりと感じる痛みに目を開けると静かに佇む若菜を見つけた。
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0066

「……若菜?どうしたの」
弾けるように駆け、ドアを力任せに叩く。なぜ部屋に閉じこもったのか遠花は理解していなかったが、とりあえず話を聞くために手を止める。けれど、気まずい沈黙が辺りをみたすばかりで遠花は不自然に明るい口調で名を呼んだ。
「若菜、……話したくないなら良いから。だからご飯食べよう」
流石におなかが減った。眠れない遠花とは異なり、若菜の睡眠はこれから始まる。早く食べて、寝る準備をしなくてはいけない。
「落ち着いてからで良いから、下で待ってる」
若菜の癇癪に付き合うのはいつものことだが、返事を返さないこと事態は幾分か珍しい。心配だが、相談されないことに嘴を突っ込むのも失礼だし、口を噤むしかない。
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0065

「どうしたの、遠花。……遠花?」
母親の声が聞こえ、意識が浮上する。目が覚めると、母と父と若菜が遠花を見下ろしている。
「おはよう、母さん」
「おはようじゃないでしょう、部屋で寝なさい」
寝る、という言葉に立ち上がり、ふと時計を見る。
意識のない時間が多すぎる。呆然としていると今まで片時も離さなかった上着握る力が抜けた。その一瞬の間に若菜に上着を奪われた。
「遠花ちゃん、これ誰の?」
「返して」
想像通り皺だらけになってしまった上着を若菜の手から早く取り返したくて、質問になにも返せないでいると若菜は険しい表情で体を翻した。
「若菜!どこいくの」
軽い体で若菜の手をつかむ。そうして、ゆっくり手を離させる。どことなくほっとした表情の遠花にショックを隠しきれない若菜は無言で部屋に走り去った。そして、鍵をかける。
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0064

「ただいま……って、遠花ちゃん?」
玄関で横たわる姿に不安を覚え、しゃがんで顔をのぞき、その胸がゆっくり上下するのを見て、詰めていた息をゆっくりと行う。あまりにも慌てすぎたせいで、遠花を起こそうと声をかける。常であれば遠花の不眠を知るため何も出来ないが、宣言なくして、そしてあまりにも不自然な眠りに不安ばかりが先だった。
今は遠花が苦手にしている夜で、その手には見覚えのある上着を離すまいときつく抱きしめている。誰のかはわからないが、あまりにもきつく絡まった手に、そして眠りに言葉を見つけられない。
「遠花ちゃん?」
呟きに近い呼びかけは、いつも若菜に笑顔をくれた。
若菜は不安になって部屋にあがり、遠花を運び入れようとしたが、女一人の力では移動させることすら困難で、タオルケットを持ってきて、踏みつけられないように端に移動させた上で、かけた。
基本的に遠花は秘密主義だが、今日は頑なだった。眠ってなお感じるのだから、今日何かがあったに違いない。電気をつけた明るい玄関で、料理もせずに遠花を見つめるだけの若菜は母親が帰ってくるまで、空腹さえ感じずうずくまっていた。
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0063

心地よく強い風が吹いて髪が乱れるが、太陽の熱を受けて異様に熱を持った不破の上着が風に煽られてめくれるはずのスカートを押さえた。皺をつけないように慎重に手を触れた御堂は、思いがけず訪れた熟睡に驚きを禁じ得ない。
問答無用で不破は上着をおいていった事実を今知った御堂だが、いつもの浅い眠りでなかったためか頭が妙にすっきりしている。
通常は太陽が落ち始めると目が覚めるため、信じられない。それでも思いがけず訪れた安寧を諦めることが出来ず、不破の上着を見つめた。
もしかして不破の上着のせいかも、と欠片でも思えば、試してみないことには返せない。不破が無いと困ることも、今ならまだ返せることも知った上で、いそいそと帰り支度をする。
そのうちにまっすぐ歩けなくなっていた。今にも落ちそうな瞼に必死に抵抗し、家に付くと皺になるくらい上着をつかみ、靴も脱がず眠りについた。
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0060

「で、どうするんだ?」
不破がどういうつもりでこの場所に留まるのか、御堂はそれだけが知りたい。まだまだ睡眠は足らず、今にもまぶたが落ちそうだった。
とにかく、眠りたい。今は間違い無く昼食の時間だったが無駄に出来る時間はない。
軽く笑みを浮かべていた顔に緊張が走る、が御堂は不破の言葉を聞く前に眠りの波にのまれた。

「おい、おい!御堂!」
揺さぶって起こしたい気分だったが、流石に出来ない。質問をしておいて、話の途中で寝るという神経もわからないが、口止めすら出来ていない。
御堂が学校のどこかでさぼっているのはクラスで暗黙の了解だったが、ここまで病的に眠りに落ちるとは思わなかった。
御堂は、教室にいる間は眠気など欠片も見せない。けれど今は会話の途中で眠りについた。
授業はすぐ始まる。御堂はここにいるのだろうが不破はさぼるわけにもいかない。しかし放っていくのも問題な気がして、上着を御堂に掛けた。夏が近づくせいで暑いだろうが、そうせずには居られなかった。
不破はチャイムの音を聞いて、全速力で走った。
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0059

目を瞑っていたが、突然陰が出来た。反応せずにいると、不破にしては自虐的に顔を歪めている。
「……盗み聞きか?」
心外だった。心外ではあるが、不破にとっては真実なのだろう。
「否定しないが、私が寝ていたのが先で不破の方が遅く来たんだよ?」
距離があったから聞こえなかったのだが、あまりにもな慌て振りは御堂の笑いを誘うには十分だった。
何を気にしているか知らないが、御堂には面白おかしく吹聴するつもりはないし、そもそもしようとしたところでわからない。
「まさか女がこんなところで寝てるとは思わなかったよ」
肩を落とし、口の端を皮肉ったように歪めた不破は、御堂と同じように座った。
「それにしても御堂。スカートでそれはやめた方がいいんじゃないか」
妙に真面目な顔をしたから何を言うかと思えば、よけいなお世話だった。
長いとは言えない丈のスカートが芝生の上に広がり、部活によって程良く筋肉の着いた足がのぞく。いくら人が来ないと言っても、無防備が過ぎる。
「気にするなよ、不破」
少し眉値を寄せると、不破もそれ以上言うのははばかられ言葉通り頷いた。
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まつり

どうしよう、超切ない。思わず声を上げてしまいまいそうになりました。
独り言。
→http://aast99.blog9.fc2.com/
ぜひ、ページで表紙を見て欲しいと思いました。
好きな人是非。(とか言ってリンク先がなんだか書いてない……)

どうしよう、欲しい。
→tieLeaf名義で【ツイソウの窓】と題した小説本+1曲入りCD
→Maple Leaf & tieLeaf コラボバッグ
なんそれなんそれ。超欲しい。

烈火さんもエコバッグ作ったんですよね。
でも使う場所ごっつ限られてる。
私は、きっと電車の中では使えませんw
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